プレアボイド報告

プレアボイドとは

「プレアボイド」はPrevent and avoid the adverse drug reaction(薬による有害事象を防止・回避する)という言葉を基にした造語で、日本病院薬剤師会が提唱し収集している薬学的患者ケアの実践、その結果に基づく成果報告の呼称です。

医療現場に勤務する薬剤師は、医薬品の供給管理、内服・外用・注射剤の調剤はもとより、病棟や院内全域で医薬品の適正使用に貢献することを求められています。特に「プレアボイド」は、薬剤師職能のなかでも“Pharmaceutical Care(ファーマシューティカルケア)”に着目したものです。医療現場に勤務する薬剤師は、服薬指導、治療モニタリング、 副作用モニタリング、薬歴管理、薬物血中濃度管理などの薬学的患者ケア(表1)を通じて、有効で安全な薬物療法の推進の一翼を担っています。その結果として、副作用によるリスク回避、患者の生活の質(QOL)の改善、治療効果の向上といった具体的な成果が得られています。

表1:薬学的患者ケアのためのチェックリスト
  • 適切な投与量
  • 適切な治療期間
  • 適切な投与経路
  • 薬物有害作用
  • 薬物相互作用
  • 薬物アレルギー
  • 投与禁忌
  • 重複する治療
  • 治療意義の理解
  • 必要な患者教育
  • 過量使用
  • 薬物乱用 など

プレアボイドの分類

プレアボイド報告には、

  1. 副作用重篤化回避 (様式1)
  2. 副作用未然回避  (様式2)
  3. 薬物治療効果の向上(様式3)

という3つの分類があります(図1)。

1つ目の副作用重篤化回避(様式1)は、既に発現してしまった副作用を初期の段階で把握し、重篤化することを回避した事例です。

2つ目の副作用未然回避(様式2)は、副作用の発現を事前に予知し、薬剤師が介入することで副作用を未然に回避した事例です。

3つ目の薬物治療効果の向上(様式3)は、副作用の発現はなく、未然回避もない、しかし、患者さんが本来受けることができる最適な薬物治療の成果を受けられないことを「患者不利益」の一部としてとらえ、それを回避した事例、つまり薬剤師の介入により、治療効果の改善、向上がみられた事例です。

図1:プレアボイドの分類

プレアボイド報告件数

令和3年度の総数報告は、43,274件でその内訳は、副作用重篤化回避(様式1)が2,606件:約6.0%、副作用未然回避(様式2)が32,323件:約74.7%、平成28年度より開始した薬物治療効果の向上(様式3)が8,345件:約19.3%でした。
平成11年から開始したプレアボイド報告の全体報告件数の累積報告数は53万件を超え(図2)、薬剤師の実績を示す貴重なデータとなっています。

図2:プレアボイド方報告数の年度推移

図2:プレアボイド報告数の年度推移

プレアボイド報告についてのお願い

平素よりプレアボイド報告にご協力を頂きまして誠に有難うございます。

さて、日本病院薬剤師会(以下、日病薬)が提唱するプレアボイド事業につきまして、群馬県病院薬剤師会会員の皆様には以前より、報告内容の情報共有を目的に当会ホームページからの報告をお願いしておりましたが、この度、2024年10月からの日病薬プレアボイド報告システム変更に伴い、本来の報告方法である日病薬ホームページから報告をお願いする運びとなりました。

下記の「プレアボイド報告サイトへ」をクリックしていただくと、日病薬のプレアボイドオンライン報告のサイトへ移動いたします(日病薬のユーザー名とパスワードが必要となります)。
引き続き、皆様のファーマシューティカルケアの成果を積極的にご報告頂きますようお願いいたします。群馬県病院薬剤師会として、薬剤師の職能をアピールできるようプレアボイド報告推進に努めて参ります。

群馬県病院薬剤師会
会長 原 佳津行(SUBARU健康保険組合太田記念病院)
薬剤業務委員会
委員長 新木 美枝(JCHO群馬中央病院)
薬剤業務委員会
プレアボイド担当 松浦 雅人(群馬県済生会前橋病院)

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